DX(Digital Transformation)

 2021年06月30日

(第565号掲載)

DXとは、「企業等がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、ピロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」(2018.12月経済産業省DX推進ガイドライン) つまりICTの活用を通じでビジネスモデルや組織を変革することである。新型コロナウイルス感染症拡大によりデジタル化への課題が浮き彫りとなった。税理士業務関係では、関与先を含めテレワーク、在宅勤務の増加・Web会議の増加による環境整備の問題。行政の給付金・助成金等支援策に係るオンライン申請の拡大、そのオンライン手続の不具合等のデジタル化の遅れが表面化した。

 国税庁2020.10月の「税務行政の現状と課題」で、新型コロナウイルス感染症に関する取組として、所得税等・法人税・相続税の申告期限、納付期限の延長・個別の延長や納税が困難な者に対する納税猶予の柔軟に適用。税務行政の将来像(税務行政のデジタルトランスフォーメーションについては、①税務行政のデジタル化として、スマートフォンやタブレットを利用した確定申告によるe-Taxの推進。②マイナーポータルの活用による年末調整・確定申告の簡素化。
③税に関する質問をフリーワードなどで入力するとAI(人工知能)を活用して自動的に回答を表示するチャットボットによる税務相談。④課税・徴収の効率化・高度化に向けた基幹システムの刷新(次世代システムの構築)⑤税務上の書面規制については、オンライン利用の円滑化のため様式の簡素化や添付書類削減、オンライン化(電子メールでの提出や簡易な申請ウェブサイトによるオンライン提出を含む)を推進する。⑥押印原則については、押印を求める行政手続等について押印の必要性を検証し、真に必要な場合を除き、押印を廃止。押印を残す場合にも、電子的に代替できる方策を明確にする。令和3年度の税制改正により、令和3年4月1日以降の別途掲げるもの以外押印を要しないこととなった。⑦対面手続については、デジタル技術を活用したオンライン対応を検討する。

 上記のようにICTの活用による課税・徴収の効率化・高度化を柱とする「スマート税務行政」の取組は着実に進んでおり、新型コロナウイルス感染症の影響もあり今後その動きは加速されると思われる。最近の税務署から税理士に対する連絡依頼事項は次のとおり。①書面添付制度の普及に向けた周知協力。②東京国税局では、内部事務の効率化・高度化を図るとともに、調査・徴収事務の充実・高度化を目指し「税務署事務処理センター」を設置し、複数の税務署(対象者)の内部事務を集約処理する「内部事務のセンター化」実施についての周知。③e-Taxを使いインターネットで納税証明書の請求→PDFファイルで受取→自分で印刷(令和3年7月から)の利用依頼。④ダイレクト納付、振替納税、インタ-ネットバンキング口座からの納付、クレジットカード納付等による「キャッシュレス納付」の利用案内。④スマートフォンやタブレットからの所得税徴収高計算書(納付書)の提出。⑤令和3年10月1日からの適格請求書発行事業者(登録事業者)のe-Taxでの申請依頼。

 令和3年度の税制改正において、各税法原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた「電子帳簿保存法」の改正が行われた。(令和4年1月1日施行)電子帳簿保存法上は、イ.自己が作成する帳簿・決算関係書類・請求書等の保存「電子帳簿保存」ロ.取引相手等から受け取る書類等の保存「スキャナ保存」ハ.電子取引の取引情報等のデータ保存「電子取引データ保存」の類型がある。改正ではイとロにおいて税務署署長の事前承認制度の廃止・優良な電子帳簿の場合の過少申告加算税5%軽減。ロとハにおいてタイムスタンプ要件、検索要件の緩和等がされた。今後電子帳簿保存法を利用する事業者等も増加すると思われる。

 税理士は、DXの加速による税務行政等の変化に、適確に対応して、税理士業務を行わなければならない。