税理士会支部の統合について
(第611号掲載)
新年に発行された日本税理士会連合会(以下、「日税連」という)の広報誌『税理士界』には、太田会長による年頭所感として、税理士法改正について以下のような記載がされている。『税理士法改正を見据えた検討を本格的にスタートいたしました。税理士を取り巻く環境が一変かる中、10年に一度と言われてきた税理士法改正では、社会環境の変化に追い付くことはできません。これからも国民・納税者の信頼に応え得る税理士制度となるためにも、適時の改正が必要となっていきます。社会のニーズを的確にとらえた改正を行うことで、引き続き納税者の信頼に応えてまいります。』
令和8年度、税理士法改正が本格化する模様であり、昨年12月に開催された日税連理事会では次期税理士法改正に向けての早期改正要望項目として次の6つが報告されたとのことである。
- 登録前研修の受講を税理士登録の要件とすること
- 税理士及び税理士会の自律性が求められる現状を考慮し、帳簿作成義務は税理士法から削除し、会則の義務規定にとどめること
- 令和4年税理士法改正及び税理士制度等の周知広報施策の効果を検証し、必要に応じて受験資格要件の更なる見直しをする、特に簿記論又は財務諸表論のいずれか1科目に合格した者に税法科目の受験資格を付与すること
- 税理士法人の業務範囲の見直し
- 社員が0人になった税理士法人の解散手続き等の整備
- 税理士会支部の統合要件の緩和
本稿では6. 「税理士会支部の統合要件の緩和」について整理を行っていきたいと思う。
税理士会支部について、税理士法第49条の3(税理士会の支部)において、以下のように規定されている。
| 税理士会は、一の税務署の管轄区域ごとに支部を設けなければならない。ただし、国税局長の承認を受けたときは、隣接する二以上の税務署の管轄区域を地区として支部を設けることができる。支部は、税理士会の目的の達成に資するため、支部に所属する会員に対する指導、連絡及び監督を行う。 |
税理士及び税理士法人は税理士事務所または税理士法人の事務所所在地を含む区域に設けられている税理士会の支部に属することになっている。支部は昭和31年改正で税理士会は税務署の管轄地域又は都道府県の区域を地区として「設けることができる」とした任意的規定により設置されたが、昭和55年改正で、原則として税務署の管轄区域ごとに「設けなければならない」とした義務的規定になったことから強制設置とされた。なお、ただし書きに規定する「国税局長の承認」は、原則として、次に掲げる各要件を具備する場合に行うものとする(通達49の3-1)とされている。
- 申請に係る複数署支部の地区が同一の税理士会の区域内であること
- 申請に係る複数署支部の地区における税理士数の最も多い税務署の管轄区域を除き、それ以外の税務署の管轄区域内の税理士数がそれぞれ20名以下であること
現在のところ、全国の税務署数は524となっており、税理士会支部数は493であることから、31の支部においては既に隣接する二以上の税務署の管轄区域において一つの支部となっており、全国493の支部において20名以下の支部数は80を超える状況である。
会員数の少ない支部においては、当然に各人への支部会務への負担が増していることが想像でき、会則に規定されている税務支援事業を始め、各種取り組みが困難になることもあろう。また今後、会員数の少ない支部はより増えることが想定される。
統合要件となっている「隣接する」との文言の削除や「20名以下」の上限をあげるなど法整備としての対応をはかるべきであるともに、近年は国税当局においても内部事務のセンター化が進んでいるように、今後の支部の在り方として、支部事務局機能の共同化や統合の際における諸課題解決のために「○○支部○○地区部会」の制度設計の構築など早急に検討を進めるべきである。
