令和4年専税協議会新年研修会~「令和4年度税制改正大綱」について~

 2022年11月07日

法対策委員会

(第571号掲載)

 令和4年1月2 2日(土)、アルカディア市ヶ谷5F赤城において専税協議会恒例の新春研修会を開催しました。昨年は緊急事態宣言下でしたので中止とさせていただきましたが、今年はZOOM配信併用で開催することができました。今回の税制改正大綱には8年ぶりの税理士法改正に関する制度の見直しが記載されました。詳細については今後の法案審議や法律案が出てみないと分かりませんが、現段階において税制や税理士制度がどのように改正されようとしているかの速報になります。限られた時間での研修会でしたので、特に私たちに影響すると思われる中小企業関連の項目についてパネルディスカッションを行いました。概要は以下のとおりです。

令和4年度(2022年度)税制改正のポイント ~抜粋~

1.「成長と分配の好循環」の実現に向けた税制措置

(1)企業の賃上げを促進する税制措置の抜本強化(賃上げ促進税制)

(2)オープンイノベーションの促進

(3)「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けた5G税制の見直し・延長

2.コロナ禍の経済情勢に対応する中小企業・小規模事業者の事業継続・成長への支援

(1)交際費課税の特例措置の延長

中小企業の販路開拓  販売促進等に必要な交際費について、800万円まで全額損金算入を可能とする特例措置を延長する。

(2)少額減価償却資産の特例措置の延長

事務負担軽減やデジタル化促進のため、中小企業が取得する30万円未満の少額設備投資(PC・タブレットなどの閥聡匿信機器等)について、年間300万円まで即時債却を可能とする特例措置を延長する。

(3)土地に係る固定資産税の経済状況に応じた措置

土地(商業地等)に係る固定資産税について、令和4年度は、課税額が上昇する土地について、税額上昇分を半減する措置を講じ、税負担の増加を緩和する。

(4)コロナ禍等を踏まえた事業承継税制に関する所要の措置

中小企業向けの法人版事業承継税制において、コロナ禍による事業承継への影響を考慮し、2023年3月までとされている特例承継計画の提出期限を1年延長する。

中小企業向け賃上げ促進税制(所得税・法人税・法人住民税)

改正概要【適用期限:令和5年度末まで】

雇用者全体の給与(給与等支給総額)が前年度比1.5%以上増加した場合に、その増加額の15%を税額控除。また、前年度比2.5%以上増加した場合には、30%の税額控除

さらに、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率が10%上乗せとなり、最大40%の税額控除。

適格請求書等保存方式に係る登録手続の見直し

【現行】

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を申請した場合、令和5年10月1日の属する課税期間においては、経過措置により、課税期間の途中でも登録を受けた日から適格請求書発行事業者となることができる。 一方、その後の課税期間においては、課税期間の途中からの登録を受けることはできない。つまり 課税事業者選択届出書と登録申請書を提出し、翌課税期間から登録を受けることとなる。

【見直し案】

免税事業者が登録の必要性を見極めながら柔軟なタイミングでて適格請求書発行事業者となれるようにするため、令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間においても、課税期間の途中からの登録を可能とする(簡易課税の適用も可能とする)。

(注1)課税事業者選択届出書を提出することで課税転換した場合とのバランスを考慮し、登録開始日から2年を経過する日の属する課税期間までの間は、事業者免税点制度の適用を制限する(令和5年10月1日の属する課税期間を除く)。

(注2)令和4年4月1日施行。

住宅ローン控除

〇住宅ローン控除については、令和7年入居分まで4年間延長する。

〇借入限度額

消費税率引上げに伴う反動減対策としての上乗せ措置は終了し、住宅の環境性能などに応じた上乗せ措置を講ずる。既存住宅についても、環境性能などに応じた上乗せ措置を講ずる。

〇控除率

会計検査院からの指摘への対応として、制度の簡素性の観点も踏まえ、控除率を0. 7%に引き下げる。

〇控除期間

新築住宅及び買取再販住宅については13年(令和6年・7年入居の「その他の住宅」については10年)、既存住宅については10年とする。

〇所得要件

合計所得金額2,000万円以下に引き下げる。

〇床面積要件

 令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅については、合計所得1,000万円以下の者に限り、40㎡に緩和する。

※令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅のうち、省エネ基準に適合しない住宅は住宅ローン控除の対象外とする。

上場株式等の配当所得等に係る課税方式

現行制度においては、所得税と個人住民税において異なる課税方式の選択が可能なため、国民健康保険等の他制度における影響を考慮して、所得税で総合課税、個人住民税で申告不要を選択するケースがある。金融所得課税は、所得税と個人住民税が一体として設計されてきたことなどを踏まえ、公平性の観点から、所得税と個人住民税の課税方式を一致させることとする。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の見直し

〇適用期限については、令和5年12月31日まで2年延長する。

非課税限度額については、1,000万円とする。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(贈与者の年齢要件撤廃)についても、適用期限を2年延長する。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置

【令和4年1月以降用】

令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありません(事前申請等は不要)。

令和6年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。

請求書 領収書 契約書 見積書などに関する電子データを送付・受領した場合には、その電子データを一定の要件を満たした形で保存することが必要です。申告所得税 法人税に関して帳簿書類の保存義務がある全ての方にご対応いただく必要があります。

▼保存すべき電子データは?

紙でやりとりしていた場合に保存が必要な情報が含まれる電子データ

(例)請求書、領収書、契約書、見積書など

※受け取った場合だけでなく、送った場合についても保存が必要です。

■税理士制度の見直し

税理士が取り組むべき上記の方向性を明確にするため、「税理士は、業務のICT化を進める等の取組みを通じて、納税者利便の向上及びその業務の改善進歩を図るよう努めるものとする」旨の努力義務規定を設ける(令和4年4月1日施行)。

〇併せて、その取組みが進展するよう、業務のICT化に関する規定を、日税連  税理士会の会則の絶対的記載事項とする(令和5年4月1日施行)。

〇事務所設置規制の見直し

税理士業務のICT化や働き方の多様化に対応する観点から、「事務所」の該当性判定基準に、応接設備や使用人の有無といった物理的事実を用いないこととする。

併せて、税理士から離れた場所における使用人等の業務の適切性確保を図るための運用上の措置を講ずる。

(注)令和5年4月1日から適用する。

〇税理士法人は、成年後見業務や租税教育普及の業務を行うことができることとする

(令和4年4月1日施行)。