デジタル臨調の狙いと国民のプライバシー権

 2022年02月25日
デジタル臨調の狙いと国民のプライバシー権

神宮外苑

(第569号掲載)

 新政権において「デジタル臨時行政調査会」が発足した。「デジタル改革・規制改革・行政改革に係る横断的な課題を一体的に検討し、実行する組織として位置付けさせていただきたいと考えています。具体的には、国や地方の制度、システム上の構造変革を早急に進めるということ、さらには、そうした活動を通じて、個人や事業者が付加価値を創出することができる環境を整えていくこと。こうしたことをデジタル臨調(デジタル臨時行政調査会)の狙いとして位置付けさせていただいております。」(11月9日大臣会見)。新自由主義からの転換という政策のもとに規制改革会議の名前が消えたことにより、規制改革が後退したとの見方もあるが、それぞれ独立した改革というよりもデジタルに関する規制改革、行政改革という意味合いが強い。我々資格者の立場からすれば、少なくとも「資格」に関する規制緩和、撤廃、資格間の垣根を低くするような改革ではなさそうだ。▼改革の中心がデジタルなので「デジタル庁」の権限は大きくなる。DXの推進が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることに異論はないし、デジタル化の流れを止めようとするものでもない。問題なのは、集めた国民の情報について誰がその膨大なビックデータのプラットフォームを握るかだ。スマホから「あなたにおススメ」や飲食店を訪れた後に「○○のお店はいかがでしたか?」の着信にみられるように便利さの反面、不気味さも感じる。いったい誰がこのコメントをして、誰がこのことを知っているのか?プライバシーの権利を大事にしておかないと、知らぬ間に監視社会へと突き進んでしまう。デジタル庁が目指す、国民誰一人取り残さないとは、裏を返せば国民誰一人取り残さずプラットフォーマーに情報を握られてしまうということではないか? 国民が置き去りになっているように思えて仕方がない。政府が前のめりになるのは分かるが、税理士はもう少し国民や事業者の立場にたって発信をすべきではないか。