コロナ禍で変わったこと

 2021年03月12日

(第561号掲載)

 コロナ禍で通常生活が思うようにできなくなってから早くも1年が経とうとしている。今はワクチン接種が希望となっているが、仮に収束してもコロナ後の仕事のやり方が元に戻ることはないだろうとされている。

 経済はどう動くだろうか、飲食業界・旅行業界などはどのように復活するのか、またコロナ対応の巨額の予算出動で今後の税制ではどのように増税していくか、などいろいろ考えてみるものの現時点では全く読めない。

 もちろん将来の予測記事は経済評論家や経済雑誌が書いているので参考にはなるものの、経済を考える前にまずは感染しないということと、コロナ感染以外の病気にならないよう健康を守っていなかなければ元も子もないので、自分自身しっかりと注意して生活したいと思う次第である。

 税理士業務については、コロナ禍により便利なことに気付いたことの代表例はオンライン会議やオンラインセミナーであろう。お客様との面談はかなりの割合でオンラインとなり訪問にかかっていた時間が節約できた。また研修受講もオンラインなので手軽に申し込めるようになった。お客様との面談は対面を望む方もいるが、収束後もオンラインでいいという方も多い。このように移動時間がかなり節約できたことは非常に大きく、収束後でも研修会やセミナーには会場参加はしないのではないかと思う。

 その他では普段ほとんど会わないお客様や、お客様の従業員、家族面談など対面時間の設定が難しかった人達とのオンライン面談が増加したことも大きい。面談できたこと自体で感謝されるので、お客様のつなぎ止めに有効だと思う。

 お客様の会社の数字の変化でいうと交際費・交通費・会議費が大幅に減少したことにより、経費削減された結果、売上が減少していても一定の利益が確保できている例も多い。また給付金の受給により零細企業は赤字から黒字転換した会社も多い。今年の確定申告ではテレワークにより自宅の水道光熱費や通信費、WiFiの設定費用の経費算入割合などの相談の増加が想像できる。一方悩ましいのは法人の代表者が自宅をテレワーク仕様に改造した場合に会社負担をいくらにしていいか?という相談などである。

 税務調査も変わった。法人調査については、ソーシャルディスタンスをとり換気を徹底して行ったものの、寒くてたまらなかった。その後の調査官とのやり取りで税務署へ行く場合にも予約が必要となっている。一方相続調査については、配偶者が高齢であるなどの事情で臨場ではなく書面でのやりとりとなった。事前に税務署から調査したい項目が列挙された文章が送られてくるので、調査項目が分かり納税者や税理士にとってはメリットが大きい。

相続調査に関してはコロナ禍では臨場は出来る限り避け、書面でのやりとりが継続していくものと思う。緊急事態宣言中の調査については延期という選択肢はあるものの、敢えて納税者が希望すれば早期終了という可能性もあり受けておくというのも手であろう。法人調査の時に上席が「こういった時期なので経費の細かい点は置いておいて、論点を絞って早期に終了したい」といった言葉が印象に残る。

 一方コロナ禍で良くないことはたくさんあるが、一番は懇親会が無くなったことによる情報交換が全くできなくなったことである。税理士同士の懇親会でお客様である中小企業の現状は今どうなっているのか、税務調査はどう行われているのかなど会食を伴っての情報交換は非常に有意義であったがこれができないと自身のお客様にも伝えられない。世間はどうですか?と聞くお客様は多い。オンライン飲み会を友人とやってみたが、それなりに気分転換にはなるので、オンライン情報交換会を税理士同士で行うことが今後増えていくといいと思う。最近ではセミナー後の懇親会はZoomで行われている。