新年のご挨拶

 2022年08月24日

菅原 祥元

(第570号掲載)

 専税協議会の会員の皆様、また税界展望の読者の皆様、謹んで新春のお慶び申し上げます。昨年の第55回定期総会において会長職に就任してから早半年が経ちます。この間、広報誌「税界展望」や研修会を通じて少しずつ情報発信することができました。これもひとえに会員、購読者の皆様、お一人お一人の支援があってのことと深く感謝を申し上げます。

 さて、我が業界のことについては、昨年末に公表された令和4年度与党税制改正大綱の項目である以下の三点について雑感を述べたいと思います。

①デジタル化

 改正電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務に2年の猶予措置が設けられました。事業者が追いついていないとの観点で改正が入りましたが、こういう実情は税理士業界からも発信していくべきであったと猛省しています。デジタル化は国策でもありDXの推進が企業の生産性の効率化や人々の生活をより良い方向に変化させることに期待はするものの、国民や事業者の行動や取引をすべて把握するような方向へ進むことは注視しなければならないと考えます。監視される社会、自由に物が言えない社会へと知らず知らずのうちに進んでいくことだけは避けたい。たとえ少数派の意見であっても是々非々で声をあげていかなければなりません。

②インボイス制度

免税事業者の登録申請に係る経過措置期間が6年間延長されました。免税事業者がインボイス発行事業者へ登録するか否かは経営判断、価格の妥当性、税額のシミュレーションなどを踏まえ大きな決断となります。事業内容によって個別性が強いので、この改正はその判断に柔軟な対応できる点は良いのですが、コロナ渦において傷ついた事業者にとっては根本的な解決策となりえないし、この状況下で大きな制度変革を行うべきでないとも考えます。また、間接税特有の納税義務者が事業者であり微税コストを肩代わりしている点も訴えてまいります。事業者の準備状況を検証し今一度立ち止まって見直すべきです。

③税理制度

今回の税理士法改正も平成26年改正同様に税制改正法案の中で見直されることになります。少し気になったのは国税庁要望が唐突に入ってきたことです。もちろん政府提案の改正プロセスなので国税庁の要望自体入ることは分りますが、各税理士会へ対する周知への力の入れように引き換え情報が少ない。国税庁の要望は税理士や納税者の身分や行為に直結することが多いので、協議や情報公開についてはしっかりした手続きがなされるよう提言してまいります。

今年も専税協議会は国民、納税者の視点に立った政策提言を発信してまいります。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。