(研修)「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案及び追加試案」研修会報告 ~税制に与える影響について探る~

/平成29年12月16日(土)於:東京税理士会館
第一部 松嶋隆弘氏(日本大学教授・弁護士)
第二部 パネルディスカッション
    宮本雄司(本所支部)、高橋美津子(日本橋支部)


民法(相続関係)等の改正については、随時、意見募集がなされるなか、中間、追加試案が公表されており、今後、税制に及ぼす影響も大きいと思われます。

そこで、いち早く情報をキャッチし、理解を深めるため、平成29年12月16日、東京税理士会館にて「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案及び追加試案」研修会を開催しました。

第一部は、松嶋隆弘氏(日本大学教授・弁護士)に講師をお願いし、最新の改正の動向をご説明して頂き、第二部において、宮本雄司税理士(本所支部)、高橋美津子税理士(日本橋支部)をパネラーに迎え、税制に与える影響について、パネルディスカッションを企画いたしました。

本研修会は、専税協議会会員のみならず、幅広く、友好他団体の会員にもお誘いしたため、結果56名の出席となり有意義な研修会となりました。

以下、研修会の要旨について記載します。

第一部 「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案及び追加試案」の概要


1.はじめに

2.相続法改正の背景と経過

(1)いわゆる非嫡出子違憲事件において最高裁大法廷
(最大決平成25年9月4日民集67巻6号1320頁)

・事実の概要

※Y1、Y2に対する遺贈があるため、具体的相続分を算定すると
・合憲・有効の場合: Y1、Y2につき、具体的相続分なし
・違憲・無効の場合: Y1、Y2につき、具体的相続分あり
・決定要旨

民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。
民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。

(2)平成25年改正(平成25年法律第94号)
違憲とされた部分を削除する改正(民法900条4号但書)

(3)「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」(「中間試案」)

(4)中間試案後に追加された民法(相続関係)等の改正に関する試案」(「追加試案」)

(5)要綱案のたたき台(3)とその補充

3.配偶者の保護

(1)「中間試案」における配偶者の相続分の見直しの提案

(2)追加試案及び「要綱案のたたき台(3)」

・追加試案の提案(持戻し免除の意思表示の推定)

民法第903条に次の規律を付け加えるものとする。
婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地の全部又は一部を遺贈又は贈与したとき...、民法第903条第3項の意思表示があったものと推定する。

(3)各提案の検討

4.遺産分割における預貯金債権の取扱い

1)従前の判例の立場と「中間試案」における両案併記

・従前からの判例:

相続財産中に可分債権があるときは、その債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、預金債権も、可分債権として、当然に、分割されることになる旨明示(最判昭和29年4月8日民集8巻4号819頁、最判昭和53年12月20日民集32巻9号1674頁最判平成16年4月20日集民214号13頁等)。

・「中間試案」

甲案(可分債権は相続の開始により当然に分割されることを前提としつつ、これを遺産分割の対象に含める考え方)

乙案(可分債権を遺産分割の対象に含めることとし、かつ、遺産分割が終了するまでの間、可分債権の行使を禁止する考え方)とを併記し、パブリック・コメントに付することにした。

(2)平成28年大法廷決定の登場と論点の縮小・変移

・最大決平成28年12月19日民集70巻8号2121頁(大法廷スキーム)

預貯金一般の性格等を踏まえつつ以上のような各種預貯金債権の内容及び性質をみると、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。
預貯金契約は、消費寄託の性質を有するものであるが、預貯金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には、預貯金の返還だけでなく、振込入金の受入れ、各種料金の自動支払、定期預金の自動継続処理等、委任事務ないし準委任事務の性質を有するものも多く含まれている...。そして、これを前提として、普通預金口座等が賃金や各種年金給付等の受領のために一般的に利用されるほか、公共料金やクレジットカード等の支払のための口座振替が広く利用され、定期預金等についても総合口座取引において当座貸越の担保とされるなど、預貯金は決済手段としての性格を強めてきている。

(3)追加試案及び「要綱案のたたき台(3)」における仮払い制度等の創設・要件明確化

・家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する方策((1)案)

・家庭裁判所の判断を経ないで、預貯金の払戻しを認める方策((2)案)

(4)検討

5.遺留分制度に関する見直し

(1)「中間試案」における甲案の優越とその後の批判

・物権的効力説(最判昭和35年7月19日民集14巻9号1779頁、最判昭和41年7月14日民集20巻6号1183頁、最判昭和51年8月30日民集30巻7号768頁)
最判昭和51年8月30日民集30巻7号768頁
遺留分権利者の減殺請求により贈与又は遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者又は受遺者が取得した権利は右の限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属するものと解するのが相当

・「中間試案」、「追加試案」及び「要綱案のたたき台(3)」

・受遺者又は受贈者が、現物給付を求めた場合の効果等

・裁判所が現物給付の内容を定めるという考え方(甲案)

・現行法と同様の規律で当然に現物給付の内容が決まるという考え方(乙案)

(2)「追加試案」及び「要綱案のたたき台(3)」の概要

・遺留分に関する権利(遺留分権)の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずる ・受遺者又は受贈者は、金銭債務の全部又は一部の支払に代えて、遺贈又は贈与の財産のうちその指定する財産(指定財産)により給付することを請求することができる ・遺留分権利者が一定期間内に指定財産に関する権利を放棄することができる(金銭債務の消滅の効果までは覆らない。)
(3) 検討

第二部パネルディスカッション進行要旨


テーマ:「税制に与える影響について探る」

★「配偶者の短期居住権、長期居住権」について

・相続財産として課税されるのか?
・短期と長期の違いは?
・評価方法はどのような感じになると想定される?
・マンションと一戸建てのケースについて。従来との違いは?
・建て替えがあっときはどうなる?
・中途で、長期居住権を放棄したときの課税関係は?
★「婚姻期間が20年以上である夫婦の一方が他方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地の全部又は一部(長期居住権を含む)を遺贈又は贈与したときは、民法第903条第3項の持戻し免除の意思表示があったものと推定する」について

・贈与税の配偶者控除(2,000万円まで)との関係は?
・住宅資金の贈与の場合はどうなる?
・今後、顧問先に、「贈与税の配偶者控除」を勧める場合に、注意すべきことがあるか?
★「遺留分制度に関する見直し」について

・遺留分減殺請求の際にどのような影響が具体的にでるか?
・上記影響が、中小企業にもたらす影響は?(事業承継など)
・事業承継の際に気をつけるべきポイント及び対策は何か?
・30年度税制改正大綱との関係は?

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