増税を考える
(第613号掲載)
毎年の税制改正で増税減税が決定される。政府の債務残高は増加していくため将来増税になっていくことは避けられないと思うのだが、今回は増税について考えてみたいと思う。増税は国民に不人気及び景気の腰折れを起こすため慎重に決定すべきであるが、不動産価格の上昇が著しいにもかかわらず以前あった税制が復活しないのはなぜだろう。例えば、地価税・土地重課・特別土地保有税などである。バブルが崩壊したのは融資の総量規制が引き金になっているのであって、税制が引き金になったわけではないだろう。これらの税制が復活するかも?といった話もないのは不思議である。
日本の個人金融資産は2025年末で2351兆円だそうである。この財産に1%の財産税を課税すれば23.5兆の税収が入る。財産税かけている国はありますか?とGeminiに聞いてみるとノルウェー、スイス、スペインなどにあるようである。財産税の難しさは当然ながら金融資産の把握である。金融機関の預金口座のすべてが紐づけできたとしても、タンス預金、金地金など不表現資産については課税できないので不公平となる。仮に財産課税が制度設計される場合には基礎控除が設定されると思われるので、高額所得者に課税が集中するため富裕税とか富裕層向け課税と呼ばれるだろう。
実際に金融資産をたくさん持っているのにも関わらず所得税・住民税・社会保険料・医療費負担の少ない高齢者やFireした人々は存在する。実際に後期高齢者医療制度における金融所得の勘案についてというタイトルで厚生労働省から発表があり
●金融所得のうち上場株式の配当などは確定申告の有無により、保険料・窓口負担等が変わる不公平が発生しており是正が必要
●後期高齢者医療制度において、金融機関等に対し所得税法の規定により税務署長に提出が義務付けられている報告書等(法定調書)を保険者(後期高齢者医療広域連合)へオンライン提出する義務を課すこと等により上場株式の配当等の金融所得を保険料の算定や窓口負担割合等の判定に公平に反映する法律が施行予定である。
特定口座の所得については、今後配偶者控除や国民健康保険料への反映も検討されるだろうか。公平という点では議論開始されてもおかしくないと思う。
次に消費税である。消費税は賛否両論あるが食料品の消費税率を0%にした場合の一般家庭の年間消費税減税額は68000円程度だそうである。定額減税は相当批判があったが3人家庭の場合3名×3万円=9万円の減税だったのでそれなら定額減税のほうが有利になってしまう。会計処理の中で一番多くの時間が割かれるのは消費税関連のチェックである。軽減税率8%が0%になるだけであれば、会計処理にかかる時間は同じであるが、システム改修には多額の費用と時間がかかる。もはや政治家はだれもそのことを今さら言えないし報道各局も伝えにくいだろう。ところで給付付き税額控除は1人あたりいくら設定されるのだろうか。1人あたり3万円として1億人で3兆円となる。所得税の基礎控除と同じく一定の所得のある場合には税額控除は設定されないことも考えられる。
最後に資産課税である。現在の相続税の納税者の率は10人に1人となっている。相続税はタワーマンションの評価方法の改正、5年以内取得の不動産の評価の改正、生前贈与の改正など資産についての増税への改正が行われている。この制度改正は課税の公平性、所得の再分配を考えれば富裕層からの不満は出てくるが妥当なものだろう。相続対策と称して金融機関や保険会社、不動産会社が商品の販売に力を入れてきたがいよいよ対策として難しくなってきているため資産家にとって相続税の増加は避けて通れないだろう。
もう1つは出国税である。海外に移住する場合に有価証券の時価1億円の壁がある。この1億円には非上場株式が含まれるため中小企業の経営者が海外移住を検討する際にネックになっている。国もうまいこと考えたものだと思う。10年以内に日本に戻ってくれば問題ないのであるから終身永住による財産移転をさせないためだと思う。今後は有価証券以外に現預金も含まれるだろうか。そうすると海外移住も難しくなるかもしれない。
