「論」消費税率10%への引上げについて約6割が見送るべきとしています

(税界展望 第525号)2017年(平成29年)9月14日

1.世論調査の結果


日々感じていることですが、税理士の顧客の中心となっている中小、零細事業者には消費税の負担は重すぎます。そんななか、株式会社時事通信社の平成29年9月の世論調査で、平成31年10月に予定されている消費税率10%への引上げについて尋ねたところ、「引き上げを見送るべきだ」が58.1%で、「予定通り引き上げるべきだ」の34.3%を上回りました。23.8ポイントも「見送るべきだ」が多い回答で、「増税による負担増に対する国民の根強い抵抗感が示された格好だ。」と報告しています。当初平成27年10月の予定だった消費税率10%への引き上げは、経済情勢を理由に2度にわたり先送りされています。中小、零細事業者はもともと生産性の低い役務提供を業としている者が多くて、消費税にはなじまない体質を持っています。

1.世論調査の結果


消費税率10%への引上げは既に法律で決まったことですが、2度にわたり先送りされたことを考えるともう一度消費税増税に賛成、反対の論点を確認してみることが大事です。

引上げの代表的な賛成意見は
(1)今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。
(2)ここ10年くらいで見ると、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、消費税は毎年10兆円程度(地方消費税を除く4%分)の税収が続いており、税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。

これらに対して反対の代表的な意見は
(1) 消費税率を引上げたとしても、高齢化社会が進む中で社会保障財源はまかなえません。
(2) 経済が弱っている今の時点で消費税を引上げたら、景気がさらに失速してしまうし、まずデフレを解消することが重要です。
(3)消費税率を引上げる前に、財政の無駄をもっと徹底的に見直さなければ、国民の納得は得られません。政府が抱えている膨大な埋蔵金もさらに積極的に活用する必要があり、政府債務を過大評価して消費税増税を求めるのはおかしいのではないか。いずれももっともな意見ですが、日本銀行が踏み込んだ金融政策など、アベノミクスは中小、零細事業者に恩恵はあったのでしょうか。

2.もう一度消費税増税に賛成、反対の論点を確認してみると


一事業年度36時間以上の研修時間義務化は、平成27年度は、研修受講義務の周知徹底・平成28年度から施行された。東京税理士会の資料によれば、平成27年度の受講義務達成者数の割合は34.47%、平成28年度の割合は37.64%となっている。周知の効果があったのか多少増加した。平成29年度中間(9月)で受講義務36時間上達成者の割合は10.16%、平成28年度の中間は11.94%である。平成29年10月に受講時間が0.5時間から35時間までの会員に「平成29年度研修受講時間のお知らせ(中間通知)」を郵送した。

対象会員については、今事業年度残りの平成30年3月までに36時間以上を達成していただきたいとの趣旨である。平成29年9月末現在で、受講時間36時間以上達成の会員及び受講時間0時間の会員にはこの通知を省略した。達成した会員についての省略はいいとしても、中間で受講時間0時間の会員に何も通知しないのは如何なものかと考える。0時間の会員にも通知しその状況を把握する必要があるのではないだろうか。

①税理士会等が定める一定の研修は受講していなくとも、税理士法人等の社内研修又は市販のDVDの視聴などによる研修をしている場合。
その研修内容を確認することにより会員による自己申請(受講時間認定申請書)の提出ができる会員かもしれない。
②負傷又は疾病による療養などの理由・公職についている・議会の議員・出産、育児、介護その他の理由で研修受講ができない場合。
その免除申請を促すことができる。36時間受講義務達成者数の割合も大切だが、0時間の会員の存在も受講時間36時間以上を義務化した税理士会としては重要な問題である。
東京税理士会による会員研修会・支部主催の研修会・マルチメディアを利用した研修会・ブロック研修会・オープン研修会・税理士会の認定した研修会等のほか各種団体業者の開催する有料研修会など様々な研修会が開催されている。会員は研修会のテーマにより研修会を選び参加をしている。

3.日本税理士会連合会の建議書は


平成29年6月22日に開催された理事会で決定した平成30年度税制に関する建議書では 消費税については税率引上げを容認し、「今後の税制改正についての基本的な考え方」として「消費税は我が国の基幹税であり、これからの我が国の社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て)を支えるのは、消費税である。消費税率の引上げによる国内消費の減速懸念の問題については慎重な対策が必要であるが、消費税率は予定どおり引き上げられることが望ましい。」としています。

そして重要建議項目の最初に「消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持について」として「軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること、逆進性対策として非効率であること、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となること等の理由から、日本税理士会連合会は、単一税率制度の維持を強く主張しており、この基本的な考え方は変わっていない。低所得者への逆進性対策としては、例えば、あらかじめ国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素な給付措置などによる消費支出の負担軽減策等を検討すべきである。(以下省略)」と、とりあげています。世論調査の結果とは違う方向です。消費税率を引上げなければ中小、零細事業者が負担する軽減税率(複数税率)制度の導入はありません。

消費税は政治に翻弄される


平成26年11月衆議院解散時に、経済状況などを勘案して判断したとして平成27年10月に予定していた消費税増税10%への引上げを延期し1年半先送りし、平成29年4月とすることを総選挙の争点にしました。平成29年4月の再増税は、再延期はせず、必ず実施する方針でしたが、平成28年5月に、国内外の経済に先行き不透明感が広がり、さらに4月の熊本地震による景気への影響の懸念から平成29年4月に予定していた消費税増税10%を2年半延期し、平成31年10月にすることが決定されました。

さて、衆議院の解散、総選挙が近々ありそうです。(既に解散しているかもしれません)大義なき解散、総選挙に消費税率10%への引上げが再々々度見送られるのか政治に翻弄されます。ここは国民の声である世論調査を尊重して、消費税率10%への引上げを凍結し、税率をもとの5%に戻すぐらいの英断が国民の消費を増やし中小、零細事業者に元気を与え、経済は活性化するのではないでし

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