「論」税理士研修制度について

税理士研修制度について

(税界展望 第528号)2018年(平成30年)1月1日

(1)研修義務化について


税理士は、税理士法第1条の税理士の使命を達成するため、高度な見識と高い倫理観を保持しなければならない。税理士の研修受講義務化については、先の税理士法改正においては見送られたが、日本税理士会連合会において、国民・納税者の税理士及び税理士制度に対する信頼を確保する観点から、自らを律するため会則・規則等により、税理士会等が行う一定の研修を、一事業年度に36時間以上受講しなければならないとその受講を義務化した。(東京税理士会会則59条及び研修規則第5条)

一定の研修とは、全国統一研修会・登録時研修・公開研究討論会・税理士会、支部が主催又は共催後援する研修・税理士会等の関連団体の主催共催する研修・税理士会が認定した研修・そのほか税理士会が必要と認めた研修とされている。また研修科目については、
①税理士法その他職業倫理に関するもの ②租税法及び会計に関するもの ③公益的業務に関するもの ④情報処理に関するもの ⑤法律、経済、経営その他税理士の業務の改善進歩及び資質の向上に役立つと認められるものと規定されている。そのほか具体的な研修時間の取扱い・受講義務の免除・受講時間の申請及び通知・受講時間の公表などが規定されている。税理士会員には、「研修諸規則Q&A」や「研修ガイド」が配布されており、その内容が確認できる。

一事業年度36時間以上の研修の受講できなかった場合は、原則的には会則遵守義務違反となる。現在その遵守義務違反に対する罰則規定はない。

(2)研修受講の現状


一事業年度36時間以上の研修時間義務化は、平成27年度は、研修受講義務の周知徹底・平成28年度から施行された。東京税理士会の資料によれば、平成27年度の受講義務達成者数の割合は34.47%、平成28年度の割合は37.64%となっている。周知の効果があったのか多少増加した。平成29年度中間(9月)で受講義務36時間上達成者の割合は10.16%、平成28年度の中間は11.94%である。平成29年10月に受講時間が0.5時間から35時間までの会員に「平成29年度研修受講時間のお知らせ(中間通知)」を郵送した。

対象会員については、今事業年度残りの平成30年3月までに36時間以上を達成していただきたいとの趣旨である。平成29年9月末現在で、受講時間36時間以上達成の会員及び受講時間0時間の会員にはこの通知を省略した。達成した会員についての省略はいいとしても、中間で受講時間0時間の会員に何も通知しないのは如何なものかと考える。0時間の会員にも通知しその状況を把握する必要があるのではないだろうか。

①税理士会等が定める一定の研修は受講していなくとも、税理士法人等の社内研修又は市販のDVDの視聴などによる研修をしている場合。
その研修内容を確認することにより会員による自己申請(受講時間認定申請書)の提出ができる会員かもしれない。
②負傷又は疾病による療養などの理由・公職についている・議会の議員・出産、育児、介護その他の理由で研修受講ができない場合。
その免除申請を促すことができる。36時間受講義務達成者数の割合も大切だが、0時間の会員の存在も受講時間36時間以上を義務化した税理士会としては重要な問題である。
東京税理士会による会員研修会・支部主催の研修会・マルチメディアを利用した研修会・ブロック研修会・オープン研修会・税理士会の認定した研修会等のほか各種団体業者の開催する有料研修会など様々な研修会が開催されている。会員は研修会のテーマにより研修会を選び参加をしている。

(3)今後の研修会


現在は会員個人が研修会を選択し参加している。税理士会主催の研修会で、登録時研修のような全会員が受講する研修会が必要ではないか。同時期・同一テーマによる研修を受講することにより、会員全体の資質の向上と見識・倫理観を保持することが重要だと考える。例えば3年一巡の税理士証票確認時に、品位保持に関する研修会の受講を義務とするなど。個々の税理士が、毎年の税制改正について研修するのは当然であるが、同一の研修内容を、一定期間内にマルチメディア研修で全会員に受講させることにより、資質の統一及び研修内容に含まれる情報の共有が図られ、会員の資質に維持向上が図られるのではないかと考える。

研修受講義務の履行等に関する情報の公表は、平成30年度(平成30年4月1日から平成31年3月31日まで)の事業年度の研修受講時間等の情報が、平成31年10月1日に日本税理士会連合会のホームページ(税理士情報検索サイト)に掲載される予定である。研修受講義務の更なる周知とマルチメディア研修の視聴・研修受講義務の免除・受講時間認定申請等の内容を会員に広報する必要があると思われる。また認定研修の取扱いについても今後検討する必要があるのではないだろうか。

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